規制緩和により職種が広がり、日本における派遣はこの十数年で急増している。日本では、一度正社員として採用した人材を減らすコストが非常に高い為、必要な時に労働力を増減できる派遣社員が重宝されるようになったからだ。
ただし、海外では派遣社員を雇用する理由が日本とは少し異なります。世界各国の場合、派遣といえども正社員と同様の給与というのが多いのだ。その代わり、海外の正社員は年毎の契約が多く、日本のような年功序列の終身雇用は少なく、能力給が基本である。そして、無能な社員は勤続年数や過去の偉業に縛られる事無く、あっさりとクビになります。日本と世界では、派遣労働に関する意識そのものが違うのだ。
ここで、日本と外国(とくに欧米諸国)との派遣労働に関する法律の違いを簡単にまとめてみよう。
海外では派遣の給与が正社員と同様と先述したが、それは法できちんと定められているからであり、日本ではほとんどの派遣社員は正規の半分以下だ。その上、欧米には職種問わず派遣労働者で構成される派遣労働者の為の労働組合が全国規模で存在しており、日本にはそれがない。派遣労働者が解雇を言い渡されても、守ってくれる組織はどこにもないのだ。さらに、派遣会社による中間搾取がある。欧米では相場は1割前後、それ以上は違法だが、日本には法規定がないため会社が自由にマージンを設定できる。噂では4割5割が当たり前、との事らしい。
伝聞系であるのは派遣社員本人であっても派遣先の企業が派遣会社にいくら支払っているのか、が秘密にされているからだ。正規社員であれば、給与所得から雇用保険や各種税金がいくら天引きされているかが秘密になっている企業など、ありえるはずがない。
今後、国内に失業者が溢れれば、景気はさらに冷え込み、人材が国内から国外へ移動する可能性もある。その時、派遣業がどうなってしまうのだろうか。現在、小規模ではあるが派遣労働者の為の組織を作ろうという動きもあり、また、企業が派遣社員を正社員へ昇格し易くする法改正も検討されている。日本が世界に通用する国家となるために、派遣もまた世界に通用する制度に変わっていく必要があるであろう。